2009年12月11日

FERRIS WHEEL/FERRIS WHEEL

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1970/Polydor 583 066

★妖精の声を持つリンダ・ルイスを擁したグループ、フェリス・ホィール。それよりもフォリナーのドラムスのデニス・エリオットが参加していた60年代末のグループといったほうが一般的か。マイケル・スノウを中心に黒人のスウィートナム兄弟、そして先の2人が参加した5人組サイケ・ソウル・ポップ・グループである。本作は彼らの2作目。やはり1作目では聴けなったリンダの存在感のあるヴォーカルが最大の魅力で、本作に艶を与えている。また、スノウの書くソウルっぽいサイケデリックな曲想が普通ではなく、ポップス、ミュージカル、シンガー・ソングライター風などロックという枠を超えた雰囲気を漂わせているので、クリエイティヴである。その2つがミックスされ、本作の個性をつくっている。

晴れ
Can't Break the Habit
posted by evangelrecords at 12:28| Comment(38) | ニッチ・ポップ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ANCIENT GREASE/ WOMEN AND CHILDREN FIRST

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1970/Mercury 6338 033

★ウェールズ出身のアイズ・オブ・ブルーとレーシング・カーズの合体グループ。レーシング・カーズの前身バンドのストロベリー・ダストがアイズ・オブ・ブルーのツアー・サポートを務めたことをきっかけに、ジョン・ウェザースが企画して制作したアルバム。メンバーはレーシング・カーズのガレス・モティマーとグレアム・ウィリアムスに、アイズ・オブ・ブルーのジョン・ウェザース、ゲーリー・ピックフォード・ホプキンス、フィル・ライアン。サウンドは両方のグループから想像できないドロドロしたブルース・ロック。時代を反映したサウンドには、ライブ・バンドのようなインパクトがある。ウェールズのダルでダウナーな雰囲気が満喫できる嬉しいアルバムといえるだろう。そうしたなかにもビッグ・スリープを思わせる叙情的な部分もあり、ファン必携といえるアルバムだ。

晴れ
ウィメン・アンド・チルドレン・ファースト






posted by evangelrecords at 12:17| Comment(10) | ブリティッシュ・ビート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

SONJA KRISTINA/SONJA KRISTINA

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1980/Chopper CHOP E 5

★カーヴド・エアのヴォーカリスト、ソーニャ・クリスティーナのソロ・アルバム。ダリル・ウェイやカービー、マイク・ウェッジウッドといったカーヴド・エアの次に制作したのが、ナイジェル・グレイらと組んだ本作。80年というニューウェイヴ時代に呼応した曲と70年代のブリティッシュ・ポップを継承した曲の2種類が収められている。前者はスリッツやエッセンシャル・ロジックのようなB級ガール・ニューウェイヴを思わせるが、もともとヘタウマ・ニュアンスのあるパンキッシュな姉御なのでこれが地だろう。オールド・ファンに興味深いのは後者で、90年代に新グループのテイラーと再演する「Colder That A Rose In Snow」と「Full Time Woman」がライアーのポール・トラヴィスの曲だということ。この2曲が感動的でアルバムにアクセントをつけている。また、このレーベルはレア・グループのシンデルフィンゲンの後身バンドがアルバムとシングルをリリースしたもののすぐに回収したことでコアなコレクターには有名。

晴れ
ソーニャ・クリスティーナ(紙ジャケット仕様)







posted by evangelrecords at 12:14| Comment(0) | ニッチ・ポップ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月23日

THE KEITH TIPPETT GROUP/DEDICATED TO YOU, BUT YOU WEREN'T LISTENING

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1971 Vertigo (Phonogram) 6360 024 (Big Spiral)

★キース・ティペット、エルトン・ディーン、マーク・チャリグ、ニック・エヴァンスという前作の中心メンバーをそのまま起用した2作目。ベースとドラムスがジェフ・クラインとアラン・ジャクソンからロイ・バビントンとロバート・ワイアットらに代わり、ギタリストのゲイリー・ボイルが参加している。前作で見せた牧歌的で叙情的な楽曲がたおやかに紡がれていくアンサンブルが影を潜め、アグレッシヴで先鋭なフリー・ミュージックを指向している。そうした部分でヴァーティゴ・レーベルらしいロックとジャズの境界を跨いだ作品といえ、ジャズ・ロックの範疇に収まっている。チャリグとエヴァンスの不安定なホーンにティペットのアヴァンギャルドなピアノとディーンの自由なアルトが絡む様子はいかにも英国フリー・ジャズといった趣きだ。
晴れ
Dedicated to You, But You Weren't Listening





posted by evangelrecords at 21:32| Comment(3) | ジャズ・ロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月30日

LION (USA)/ RUNNING ALL NIGHT

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1980/A&M SP 4755

★これは80年に米国でリリースされた英国シティ派AORアルバム。写真だとよくわかりませんが、真中下の人物はなんと、ゲイリー・ファーです。あのマイティ・ベイビーをバックに英国スワンプの傑作を発表した濃ゆい人。そう、ライオンは実はゲイリー・ファーのグループだったのですね。中心的人物は、ファーとキーボードのジョン・シンクレアで、ファーはすべてのヴォーカルと作詞を担当(1曲のみ作曲も)。また、作曲を担当しているジョン・シンクレアはヘヴィ・メタル・キッズやベイビーズなどに参加していた人物で、80年代以降のユーライア・ヒープで活躍することでも有名。そして、サウンドは予想どおりのアメリカンな商業ロック。スワンプ・ロックのファーの面影はなく、シンクレアのカラーが大きい。時代を象徴するようなハードでポップなソフィスティケートされた音である。


ラベル:英国ロック
posted by evangelrecords at 12:25| Comment(4) | パブ・ロック/スワンプ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月29日

MOUSE/LADY KILLER

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1974/Sovereign (EMI) SVNA 7262 1974

★レイ・ラッセルが74年に結成したグループの唯一の作品。実に微妙な音楽性を持ったアルバムで、ジャズとロックをボーダーレスに演奏し、多くの知識とアイデアを持つレイ・ラッセル自身も、手を広げすぎて収拾がつかなくなったのではないだろうか。いろんな要素が詰まっており、曲想もR&B、グラム、プログレ、ロックンロールと軸が定まらないのである。しかし、このセンスは類をみない不思議なものなので、B級マニアには垂涎のサウンドになっている。メディシン・ヘッドのカバーというのも微妙で、このグループを表している。ひょっとしたら、レイ流のティーン・エイジャー向けのパーティ・アルバムかも知れない。冗談か本気かわからない不思議な作品だが、そのなかで「ユー・ドント・ノウ」や「ロスト・イン・ザ・シティ」などの軽妙なファンク・マナーを持つ曲は、直後にアン・オデルと結成するショパンにつながる。ショパンのプロト・タイプと考えるとわかりやすいかも。
晴れ
レディ・キラー(紙ジャケット仕様)





posted by evangelrecords at 12:46| Comment(0) | プログレッシヴ・ロック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月28日

KEITH CHRISTMAS/STORIES FROM THE HUMAN ZOO

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1976/Manticore (WEA) K 53509

★RCA、B&C、マンティコアとレコード会社を移籍し、ついには生活拠点まで米国に移してしまった英国フォーキーのキース・クリスマス。音楽的志向もアンダーグラウンド・フォークからファンク&メロウなシンガー・ソングライターに転身。本作はその最終形になる通算5作目(その後、90年代に音楽シーンに復帰して、ピュアーでシンプルなフォーク・ミュージックを披露している)。初期3作のファンは戸惑うかもしれない。それほど変化しているのである。バック・メンバーを含めレコーディングも米国で行われているので、そうなるのも不思議ではないのだが。しかし、むしろキース本来の持ち味であるドリーミーで優しいヴォーカルはこうしたメロウなサウンド・プロダクションのほうが似合う。米国の大地に根ざした歌を演奏しても違和感がなさそうだ。ブルースに取り組んだ作品も聴いてみたい。
晴れ
Stories from the Human Zoo




posted by evangelrecords at 12:48| Comment(0) | 英国フォーク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月27日

ARGENT/ALL TOGETHER NOW

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1972/Epic (CBS) EPC 64962 (Yellow Logo)

★元ゾンビーズのロッド・アージェント率いるアージェントの3作目。キーボードをフィーチャーしたハードロック・テイストのヒット・シングル「Hold Your Head Up」を収録したアルバム。ロッドとクリス・ホワイトの作曲する叙情的でドラマティックな作品とラス・バラードのハードで切れ味のいいナンバーをバランスよく配置しているのは前作と同じだが、ジャズ・ロック路線からハード・ロックやプログレッシヴ・ロック路線に軌道修正している感じ。どの曲にもポップさがあるので、印象としてはドラマティックなハード・ポップ作品なのだが。また、パイプ・オルガンの荘厳な雰囲気から始まる組曲形式の「Pure Love」が登場し、キーボード・ロック的なプログレッシヴな側面を見せている。大判の4頁ブックレットつき。
晴れ
オール・トゥゲザー・ナウ(紙ジャケット仕様)




ラベル:英国ロック argent
posted by evangelrecords at 12:15| Comment(0) | ポップサイケ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月26日

THE LEADING FIGURES/OSCILLATION 67!

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1967/Deram SML / DML 1006 (Brown Big)

★67年にデッカの新興レーベルのデラムから6番目にリリースされたアルバム。デラムのなかではコレクター向けのレアな作品になっているが、内容はマニアックなものではなく、マイク・ヴァーノンのプロデュースで、オーケストラ・アレンジで定評のあるアート・グリーンスレイドが指揮したビッグバンド・サウンドである。スタンダードナンバーの「A列車で行こう」や「タキシード・ジャンクション」などの30年代や40年代に主流になっていたビッグバンド・ジャズをオーケストラでクールに表現したもの。リーディング・フィギュアズのメンバーには、トランペット奏者のレイ・デイヴィスなどホーンセクションのほかに、ハングリー・ウルフのアラン・パーカーやロジャー・クーラムなども参加している。


posted by evangelrecords at 22:06| Comment(0) | ポップサイケ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月23日

ARGENT/ARGENT

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1969 CBS 63781 (orange)

★ゾンビーズを解散させたロッド・アージェントが68年に始動させたのがアージェントだった。のちにキンクスに参加するジム・ロッドフォード、アダム・フェイスのバックバンドのルーレッツのロバート・ヘンリットとラス・バラードという編成でデビュー作の本作を制作。アージェントとクリス・ホワイトに加えて名ソングライターのラス・バラードを得て、パワフルに変身したロック版ゾンビーズを披露している。ラス作「ライアー」のようなパンチの利いたポップ・ロックやプログレッシヴな「Dance in the Smoke」などが真骨頂だが、まだまだ夢見るポップサイケのニュアンスが強く、ゾンビーズの影が色濃く残っている。そのバランスがアルバムの最大の魅力になっている。英国盤はなぜかあまり見かけない。
晴れ
アージェント(紙ジャケット仕様)



posted by evangelrecords at 09:25| Comment(1) | 英国ポップ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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